ぼくはネコ
そんな中、気がつくといつも僕を見ている銀色のクルマに乗ったニンゲンがいた。

朝と夕方。

川面が赤く染まる時間、そのニンゲンは僕の前を通り過ぎる。

もう3日目。

もしかしたらそれ以上かもしれない。

ニンゲンはクルマを動かす前に僕を見て、停める前に僕を見る。


捨てネコ、とも。

野良ネコ、とも。


僕に話しかけるわけじゃないから、最初は気のせいかと思ったけど、何度か絶対に目が合った。

この頃の僕は、僕に優しくしてくれるニンゲンと怖いことをするニンゲンがなんとなくわかるようになっている。
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