ぼくはネコ
今でもまだ覚えている。

僕は前よりちょっと大きくなって、ちょっと賢くなった。

あの日、銀色のニンゲンだったおねぇちゃんと水色のニンゲンだったおとうさんは、僕をクルマに乗せた。

またどこかに連れて行かれるのか。

またどこかでひとりぼっちにさせられるのか。

パニックになった僕は、暴れて鳴きわめいて、その度におねぇちゃんやおとうさんに「大丈夫!」と撫でられた。

結局はひとりぼっちで放り出されなかったけど、怖い場所に連れて行かれて、何かをお尻に入れられたり、何かを刺されたり、何かを飲まされたりした。


にゃー!
なになになにーっ


僕はずっと鳴いていた。
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