ぼくはネコ
それからの毎日は、草むらにいるのとは比べものにならないくらい幸せな毎日だった。

毎日、飢えなくてすむ。


お腹がすいた。


そればかり考えていた僕なのに、今はそんなことちっとも思う暇がない。

寝る場所に困ることもない。

フカフカのお布団で、サクラねぇちゃんとユウねぇちゃんとおとうさんと並んで眠る。


「ネリネ」と呼ばれるようになった。


体から痒い虫も消えたし、ウンチも固くなった。

怖かったおねぇちゃんはある日「根負けした」と僕に言った。

眠って、起きて、おねぇちゃんと追いかけっこをして、また眠る。


おねぇちゃんと声を合わせて「行ってらっしゃい」と「おかえりなさい」を言うことが僕の朝と夜のお仕事だ。
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