ぼくはネコ
黒や赤の大きな箱を背中につけたニンゲンが、僕を見ては「あー、捨てネコだー」と言って寄ってきた。

僕は撫でられるのが嬉しくて、必死に体をすりよせた。

その足に体をこすりつけた。


ある日、ニンゲンが僕に食べ物をくれた。


「給食の残りのパン、食べるかな?」


それはフワフワで、甘くて。
草や虫より美味しくて、僕は夢中で口に入れた。

唇が砂利に擦れて血が出たけど、痛いとも思わなかった。

短い尻尾が、勝手に大きく揺れた。


「明日は牛乳持ってきてあげるね」


ガツガツと食べる僕の背中を、ニンゲンの手が優しく撫でた。
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