善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
「藍、オマエ、課長に目付けられたんじゃねぇの?? さっきの呼び出し、シゴトの話じゃねぇだろ」
デスクに戻ると、大貴が眉間に皺を寄せながらこっちに来た。
「・・・・・・別に、ダイジョウブ」
「ダイジョウブじゃねぇだろ。 藍が目付けられたら、オレも無事じゃねぇだろ。 付き合ってるって知られてるワケだから」
大貴の言葉にガッカリした。
心配なのは、ワタシの事ではなく自分の事らしい。
でも、ワタシを心配して欲しいと言うのも、ワタシの身勝手な考えカモしれない。
だって大貴は、波風を立てるべきじゃないって考え方だったから。
「・・・・・・・・・ごめんね。 大貴はダイジョウブだよ。 やられる時はワタシひとりで受けるから。
大貴が不利になる様な事態には絶対しない」
課長が大貴におかしな事しでかしたら、それこそ課長と遥の不倫をバラしてやる。
剛の悲しむ顔は見たくない。
でも、大貴が嫌な思いをする位なら、剛の泣き顔だって凝視する。
「・・・・・・・・・」
大貴は何も言わずワタシの頭を撫でると、自分のデスクに戻って行った。