善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
大貴がワタシのデスクから離れると、今度は課長が寄って来た。
・・・・・・今度は何だよ。
「本田、コレ今日中に終わらせろ」
課長が、いつもなら数人で振り分けるシゴトを、ワタシひとりに押し付けようとした。
また、ポケットに中のレコーダーのスイッチをそっと入れる。
「課長、ワタシひとりでは無理です。 いつも通りちゃんと振り分けて下さい」
課長を呼び止めようとした時
「藍、オレも手伝うから」
大貴が顔を横に振りながら、ワタシの方を見ていた。
『課長に食ってかかるな』と言う事だろう。
「藤吉、コレはオレが本田に任せたシゴトだ。 手出しするな」
課長は、ワタシの事をイビり倒すつもりらしい。
本当にやり方が幼稚だ。
・・・・・・・受けてたちましょう。
ポケットから携帯を取り出し、押し付けられた大量のシゴトの山を撮影、保存した。