善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。





定時になっても当然シゴトは終わらなかった。





次々社員が帰って行く。





勿論ワタシは残業だ。





「藍、やっぱオレも手伝う」





大貴がワタシのデスクに近づいてきて『どれをやればイイ??』と聞いてきた。





何だかんだ、大貴は優しい。 





でも





「『やられる時はひとりで受ける』って言ったじゃん。 ありがとね。 ダイジョウブだよ。 大貴は帰って」





大貴は巻き込まない。





「でも、どう考えてもこの量をひとりで裁くのは無理だろ」





「大貴、立場が悪くなるの嫌でしょ?? ワタシを手伝ったりしたら、大貴も課長の標的になるよ」





本当は甘えたい。





大貴の優しさを、有難く頂きたい。





でも、それはしてはいけない。





「昼間、オレが藍に言った事はそういう意味じゃない。 オレの立場が悪くなったら・・・・・」





何故か途中で言うのを辞める大貴。





「なったら??」





「・・・・・・今は言いたくない」





・・・・・・・・何ソレ。





大貴、意味ワカラン。






「・・・・・・・大貴、帰りなよ」






「~~~~~藍のアホ」






大貴は、意味不明な悪態をつくと、鞄を握り締めて出て行った。






誰がアホじゃ、ボケ。
< 19 / 110 >

この作品をシェア

pagetop