善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
定時になっても当然シゴトは終わらなかった。
次々社員が帰って行く。
勿論ワタシは残業だ。
「藍、やっぱオレも手伝う」
大貴がワタシのデスクに近づいてきて『どれをやればイイ??』と聞いてきた。
何だかんだ、大貴は優しい。
でも
「『やられる時はひとりで受ける』って言ったじゃん。 ありがとね。 ダイジョウブだよ。 大貴は帰って」
大貴は巻き込まない。
「でも、どう考えてもこの量をひとりで裁くのは無理だろ」
「大貴、立場が悪くなるの嫌でしょ?? ワタシを手伝ったりしたら、大貴も課長の標的になるよ」
本当は甘えたい。
大貴の優しさを、有難く頂きたい。
でも、それはしてはいけない。
「昼間、オレが藍に言った事はそういう意味じゃない。 オレの立場が悪くなったら・・・・・」
何故か途中で言うのを辞める大貴。
「なったら??」
「・・・・・・今は言いたくない」
・・・・・・・・何ソレ。
大貴、意味ワカラン。
「・・・・・・・大貴、帰りなよ」
「~~~~~藍のアホ」
大貴は、意味不明な悪態をつくと、鞄を握り締めて出て行った。
誰がアホじゃ、ボケ。