善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
「藍、本当にダイジョウブか??」
大貴が心配そうな顔でワタシの方に来た。
余計な心配かけて申し訳ない。
でも
「全然ダイジョウブ。 大貴の事も心配ない。 大貴にまで変な事したら奥の手遣うから見とけ」
大貴だけはしっかり守る。
ニッと笑って大貴を見上げると
「何だか知らねぇけど、さっさと出せよ。 その奥の手とやらを。 見てらんねぇっつーの」
大貴が困った様に笑って、ワタシの頭を撫でた。
大貴のおっきくて優しい手は、本当に心地よい。
その手をフと止める大貴。
「あ、昨日、剛に話した。 遥と課長の事」
「え?!! 話すなって言ってたじゃん!!」
頭の上で止まったままの大貴の手を掴む。
「あん時はタイミング悪くてイライラしてたからさ。 フツーに考えて、やっぱ藍が正しいと思うから」
「タイミング??」
「今は言いたくない」
出た。 大貴の『今は言いたくない』
昨日から何なんだよ。
「・・・・・・・大貴、自分のデスク戻りなよ」
「はーい」
でも、昨日よりは機嫌が悪くないらしい。