善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
部長のデスクに行くと、課長が部長に擦り寄る様に、隣についた。
「本田さん、昨日課長から頼まれたシゴト、終わらなかったらしいね」
部長が口を開いた。
「いつもなら数人で振り分けるシゴトを、課長がワタシひとりに任せたんです。 ワタシはちゃんと『振り分けて下さい』と言いました。 お陰でワタシは昨日一睡もせずに残業しました」
ありのままを伝えると
「いえ、ワタシは『振り分ける』と言ったのにも関わらず、本田が『自分ひとりで出来る』と聞く耳を持ちませんでした」
課長が即座に虚偽の発言をした。
課長の低脳さに反吐が出そうだ。
「もし仮にワタシがそう言ったとしても、あの量をひとりに任せた課長に問題があるのではないでしょうか」
「あれ位の量はひとりで出来る範囲内です」
ワタシと課長が、お互いの悪口を部長にぶつける。