善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
遥はワタシたちの同期。 今度、結婚する予定。 結婚相手の剛もワタシたちの同期。
課長は既婚者。 奥さんもお子さんもいる。
あの2人は、ただ食事をしに来ているだけじゃない。
だって、入ってくる時、課長の腕は遥の腰に回ってた。
あの2人は、確実デキている。 出来上がってしまっている。
「・・・・・・・どうするよ、大貴」
「・・・・・・・どうするって??」
「・・・・・イヤ、ダカラ・・・・剛に教えるべき・・・・だよね?? 大貴が言ってくれる??」
「なんで?? 教える必要なくね?? 知らなければ、剛だって傷つかないし。 知らなくてイイ事だってあるだろ」
・・・・・・・そうだろうか。
大貴の言う事に共感出来ない。 それは、友達思いと言わない気がする。
「コレは知らなきゃいけない事でしょ。 遥と剛、結婚するんだし」
「コレがバレたら破談になるだろうが」
「それじゃあ大貴は、剛が隠し事されたまま結婚すれば良いと思うの??」
「藍は破談にしたいの?? そうだよな、藍は剛が好きだったもんな」
大貴が顔を顰めながらワインを飲み干した。
・・・・・・・怒っているのはこっちだ。
そんな、変える事の出来ない過去の話で機嫌を損ねられても、どうする事も出来ないのに。