善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
悪党ニ関ワッタ人々ニ生マレル誤解。
「藍、ちょっと」
昼休み終了5分前、デスクに戻ると大貴に呼ばれた。
・・・・・・シゴト終わってからじゃダメなのかよ。
しぶしぶ手招きをする大貴の元へ近づく。
「昼休み、なんで藍の肩に剛の頭が乗ってたわけ??」
大貴が、軽くキレていた。
『昼休み、何してた??』など、変なワンクッションを入れない大貴は、逆に気持ちが良い。
てゆーか・・・・・
「・・・・・・見てたの??」
「剛が藍に話かけてたの見えたから、心配になって追いかけた」
大貴は見てただけで、会話の内容は聞いていないのだろう。
「『寄りかかってイイ??』って言われた。 あんな状態の剛に『お断りです』なんて言えないでしょうが」
全く持って疚しいと思っていない為、悪びれなく答える。
そんなワタシの態度が、大貴は面白くない様だ。
「あーゆーコト、オレが遥にしてもイイわけ??」
「無理。 何言ってんの??」
「じゃあ、なんで藍は剛にしたの?? 自分は良くて、オレはダメなんだ??」
「・・・・・・・・・」
なんでワタシが責められているのだろう。
大貴の言っている事は尤もだけど
じゃあ、あの時ワタシはどうすれば良かったの??
「・・・・・・・・なんか、オレも藍の事信用出来なくなってきた」
黙って顔を顰めるワタシに、大貴が言い捨ててデスクに戻って行った。
大貴は当然悪くない。
剛の気持ちも分かる。
・・・・・・・・・だからって、ワタシが悪いの??
納得がいかない。