善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。





「オレ、今、手空いてるし。 コレ、ホントは遥のシゴトでしょ?? 遥が休んだの、オレのせいでもあるしさ」





剛はそう言うけれど、遥が休んだのは遥のせいだ。





剛は悪くない。






やっぱり剛は優しい。






「・・・・・ごめんね、剛。 剛が責任感じる必要ないから。 ワタシが怖い顔でシゴトしてたのが良くなかったね。 今からルンルンで働くから。 なんなら鼻歌交じりでやるから。 だから剛は自分のデスクにお戻りなさいな」





無理矢理満面の笑みを作って、剛から封筒を取り上げる。





「・・・・・藍、切ない程に音痴じゃん」





・・・・・・言いたい放題だな、剛。





「即座に謝れば、聞かなかった事にしてやる。 謝れ、剛」





鼻を広げてイラつくワタシの頭を、剛がポンポンと撫で






「藍も大貴と別れちゃえばいいのに」






『二ッ』と口角を上げて囁いた。














「・・・・・・・・・・・はぁぁああああ!!??」






剛、今何て??!






思わず立ち上がって大きな声を出してしまった。







「うるっせんだよ、藍ッッ!!」





さっきよりも更に恐ろしい顔の大貴に怒られた。





だって、剛がッッ!! ・・・・・・・言えない。 余計ややこしくなる。






もう、何なんだよ!!





何でいっつもワタシが悪者なんだよ。
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