善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
善人ガ悪党。
「大貴は見る目あったよね」
会議室でこれからプレゼンする資料を机に並べていると、頼んでもないのに『手伝うよ』と剛がやって来た。
「何の見る目??」
「女に決まってるじゃん。 藍、イイヤツだよね。 今更後悔したわ」
『藍にしとけば良かった』とでも言いたげな剛。
剛は大切な仲間だけど、淋しいから、辛いからって藍に寄りかかろうとする態度が腹立つ。
藍も藍で突っぱねないし。 それは藍の優しさなのかもしれないが、オレの気持ちも考えてほしい。
昔好きだった男に甘えられれば、藍の気持ちは揺らぐかもしれない。
そんな藍に、辛い状態の剛は縋りたいに決まっている。
気が気じゃない。