善人ヲ装ウ、正直ナ悪党。
--------翌日、遥はちゃんと出社して来た。
あの後、藍からはメールも電話もなく、藍から話かけても来ない。
そんな藍の隣には、今日もピッタリ張り付く様に剛がいた。
「1日休んだだけで、事態ってこんなに変わるモンなんだね。 ・・・・・・やっぱ、剛の事狙ってたんじゃん、藍。 藍も他人の事言えないじゃんね。 彼氏の前で昔好きだった男とイチャつくって」
遥が寄って来て、オレの神経を逆なでる。
別に藍と剛はイチャついてはいない。 剛が一方的に藍にくっついているだけ。
それでも、剛と距離を置かない藍の態度に苛立つ。
そんなコドモみたいな思考をしてしまう自分自身が嫌になる。
「いいの?? あの2人、あのままにしといて」
遥が、わっるい顔をしながらオレの顔を覗きこんだ。
いい訳がない。
藍の方に目を向けると、心配そうな顔でこっちを見ていた。
・・・・・・・・・大丈夫。 藍はまだ、オレを好きでいてくれている。
遥とオレが話をしている姿を見て嫉妬してくれている。
藍の不安気な表情に、安心した。
藍の視線に気づきながら、意味もなく遥に笑いかける。
藍、もっともっと嫉妬して。