吸血鬼の君と×××のわたし

◆帰還…………




足もとを見れば大きな狼が転がっていた。
何事かと思い、上を見上げた。

巨大な蝙蝠＿
8mはありそうな蝙蝠が今私の上にいる。

そんな化け物に私は、こう言ってやったわ。




「久しぶりね、凪。それは何のイタズラかしら？」


蝙蝠はすぐには答えなかったが、私がイラついていたのがわかったようで、「やっぱり、これぐらいじゃおどろかないか〜。」と間の抜けた声で言った。

ドロリと皮膚がとけて、
化け物はうねうねと空で形を変える。様々な色の粘土をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたみたいでなんだか気持ちが悪い。

大きな翼は肌色の腕に、
蝙蝠の顔は人間の顔になった。

もうさっきまでの姿はなく、そこにいたのは赤い瞳で深い青色の髪の少年だった。


少年に姿を変えた化け物はゆっくりと下降し、地面に足をつけた。
同時に髪が綺麗にふわりとなびく。

凪「ごめんねぇ。少しびっくりさせてあげようと思って。」
さらさらの青い髪をはらいながら言った。



・・・ちょっとイラつくわね。



「ふざけないで。私を誰だと思っているの？美しく賢い女王、この玲奈様を。 そんなので私が驚くとおもって？」

凪「はいはい。わかったから、ごめんね。」

「反省が感じられませんわ」



凪は目を少し細めて、私の手を取っ
た。男のくせに手が雪のように白い。

「化け物が。私に触らないでくださる。」

振り払おうとすると、強く握られた。

凪「いいからっ。」

凪は薄く微笑むと、
私を連れて森から飛びたった。