生と死の狭間で
「二人は五年前に亡くなったの。

ちょうど私が初めて入院した日だった。初めて発作が起きて一人で入院になって怖くて不安で、おじいちゃんとおばあちゃんに病院に来てほしいって頼んだら、二人はすぐに来てくれてた。
その日が私の入院生活の中で一番楽しい日だった。

……でも、その帰りに二人の乗った車が飲酒運転の車とぶつかって…

それからは、ずっと入院生活でお金は親が送ってくれるから困らなかったし、ご飯もお世話も看護婦さん達がしてくれるから特に心配なことはなかったよ。」

なんて壮絶な人生なんだろう。

産まれた時から体がよわく、親からは日本に一人取り残され、育ての親の祖父母は事故死で五年間も一人で入院。
とても、自分と同い年の人間の人生とはおもえない。


オレはなんて声を出していいか分からずにいると、看護婦が夕食を持ってやってきた。
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