生と死の狭間で
「いいのよ~。そんなに謙遜しなくても。
…えっと、自己紹介してなかったわね。
私は前田 智子。直哉の母親よ。この子に何かされたしたらすぐにいってね。私がひっぱたいてあげるから!」


ぇっ?


直哉の母親?? ってお母さんって事だよね??
ち、ちゃんと挨拶しないと!!

「ぁ、いえ。直哉くん凄くいい人そんなことないですよ。
私は、長澤 優希です。よろしくお願いします!」

最後は凄く声が大きくなってしまったかも。心なしか驚いている様に見える。
でもやっぱり親子だなーって位直哉に似て話しやすい人ですっかりおしゃべりに夢中になってしまった。


「あら、もぅこんな時間!優希ちゃん面白いからスッカリ時間を忘れてたわ。お時間取らせちゃってゴメンなさいね。」

窓の外を見ると、太陽が西に傾き始めていた。楽しい時間は過ぎるのが早いなー、と凄く久しぶりに感じた。

「いえ、私も凄く楽しかったです!!」

「あらほんと?嬉しいわ~。それじゃあ、またおしゃべりにこようかしら。」

「楽しみにしてます!」

そう言うと直哉のお母さんは帰っていった。最後まで笑顔が絶えたい良い人だった。


──お母さん…かぁ。


無意識に自分の母親と比べようとしている自分に気が付いた。そんなこと、何の意味もないのに…。上がりっぱなしだったテンションはジェットコースターの様に急降下した。
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