Our Stage!!!!


「よろしくお願いします」

そう言って真琴くんは爽やかな笑顔でみんなにおじきをした後で、指定された席へと歩いて行く。

女の子たちの視線が真琴くんを追いかけている。


真琴くんの席は窓際の前から4番目。

わたしの左どなりにあたる。

ほんとは窓際は3席が三つしかないからわたしの左には誰もいないはずなんだけど、転校してきたから増やしたんだろう。


真琴くんが席についたのを見ると、先生が再び話はじめる。

「坂上も慣れないだろうから、学年終了するまで席替えは無しね!」

「えーー!!」

みんなが先生を文句を浴びせる。

「お前ら、協調性が大切なんだよ、協調性!協力してねー」

「はーーーい」

みんな渋々了解する。

転校生だからしょうがない、と諦めているんだ。

先生はそれだけ言うと教室を出て行った。


う…
うそぉーーー!!

こんなの絶対絶対気まずいよー!!

どんな顔すればいいんだろ…


ひとりで考えを巡らせていると

「よろしくね。工藤さん、でいいの?」

早速、真琴くんが声をかけてきた。

「う、うん。工藤千奈都です。よろしくね」

やっぱり人見知りなうえに男の子が苦手なだけあって、すんごく緊張する。

それにこの爽やかオーラといったら…

「よろしくね!」

わたしににっこりと笑いかける。


ドキン

なんだろ、このかんじ…



「それより、みんなに悪いことしちゃったなぁ…」

悲しそうに目を伏せる。

…まつ毛なが!

「席替えのことなら大丈夫だよ。あれでもみんな結構楽しんでるし!」

「なら良かった」

困ったように笑う真琴くん。


ドキン、ドキン


さっきから真琴くんに笑いかけられると息が苦しくなる。

昨日感じた胸の高鳴りなんかとは全然違う気がする。


…てゆーかすごい視線を感じるんだけど…

恐る恐る教室を見渡してみたら…

女の子たちがめっちゃこっち見てる!

やっぱりみんな真琴くんのとなりがよかったんだよね?

そりゃそーだよね。
こんなにかっこいいんだもん。

…おまけに歌もうまいんだよ!?

わたしなんかがなっちゃって申し訳ないなぁ…


そう言えば昨日の話をする気配もないし、やっぱり忘れてるのかな、わたしのこと。


「ねぇ坂上くん、昨日なんだけど…」

どうしても気になったから真琴くんに聞いてみようと思ったとき。

チャイムが鳴って、英語の先生が入ってきた。

「また後で話そう?」

真琴くんになだめられて渋々前に向き直る。

「教科書とノート開いてー」

そうしてわたしの苦手な英語が始まったのである…。
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