星になりたい
それからは特に会話もなく、時間が過ぎた。
変わったといえば、体勢。
いつの間にか抱きしめられていた。
抵抗するも、この男が暖かくて身体が離れる事を拒む。
「暖かい…」
つい口から言葉に出てしまい、慌てて口を手で覆う。
またもや、笑い声が聞こえたけどもうどうでもよかった。
「空、俺と一緒に来るか?」
抱きしめてるとき、ずっと無表情だったこの男が私に始めて柔らかい微笑みを見たような気がした。
行く当ても無い私を抱きしめ、暖め、拾ってくれたのは名前も知らないこの男でした。
そして、静かにコクリと頷いた。
いつの間にか雨が止み、儚く綺麗な星空が夜空を独占していた。