優しい幼なじみの君…【完】
私と涼ちゃんが、学校に行くと、もう外は真っ暗で。学校の鍵が開いていたって事だけが、幸運だった。
私達は、急いで自分達の教室まで走った。
「はぁ…はぁ………」
「優知?大丈夫?」
涼ちゃんは、結構速く走ったのに、息が全然切れていなかった。
「りょ、ちゃ……。なん、で……息…切れ…て…ない…の……?!」
「ん?これでも、バスケ部部長だからね。…まぁ、まだ先輩達には、及ばないけどね……」
涼ちゃんは、眩しい笑顔で笑った。
「さっすが、涼ちゃんだね……」
「ありがとう。じゃあ、鍵探そっか?」
「うん!…多分、机の中に……」
と、私が教室に入ろうとすると、廊下の奥から、誰かが走ってきて、私にぶつか…いや、抱きついてきた。
「うっ………」
「優知ー!!」
「……え、えぇ?!な、なんで……」
私に、抱きついてきたのは、なんと。一週間前に私をフった元彼だった。
「優知!ごめん!あんな事言って!」
元彼は、私から離れようとしない。
「実は…、その俺が好きになった女の子に、遊ばれていたらしくて……。俺とヨリ戻してよー」
ごめんなー…、と元彼は強く抱きしめてくる。
「ちょっと離して!」
「…だからと言って、今頃、優知に触れないでくれない?優知の気持ち踏み弄って楽しい?」
涼ちゃんが、元彼の首根っこを掴んで、私から離してくれる。涼ちゃんは、機嫌が悪いのか、無表情だった。
「なんだよ、お前……」
「今さ、優知は俺のモノなんだよね。だから、…どっか消えてくれない?」
「…………ぇ……」
涼ちゃんの言葉に、私の顔は真っ赤に染めあがる。それと比例して、心臓が高鳴っていた。
「は?!そうなのか?!優知!」
「へ?!」
ど、どうしよう……。
「……聞こえなかった?…早く、消えてくれない?」
ニコッと、涼ちゃんが私の元彼に黒く微笑む。元彼は、小さい悲鳴をあげて、走って消えていった。