優しい幼なじみの君…【完】
「……りょ、涼ちゃん?」
「あんな軽い奴より、俺の方が優知の事好きだ……」
私の肩に、涼ちゃんがオデコを乗せながら呟くように言った。
「………………」
そんな涼ちゃんに、私の心臓がバックンバックンと鳴っていた。
「優知……、好きだよ……。小さい頃から…ずっと……。…いい加減、俺のモノになって……」
「………ぁ、の…」
「返事は…、まだ良いから……。…ちゃんと……、考えて……」
涼ちゃんは、それだけ言うと顔をあげて、切なくニコッと笑った。
「…涼ちゃ…」
「鍵、机にある?」
涼ちゃんは、そう言って、私の机の中を覗き込む。
「ねぇ、涼ちゃ……」
「あった…。帰ろっか?」
机の中から、鍵を取って、私に手渡す。そのまま、涼ちゃんは私に背中を向けて教室から出ようとする。
「ちょっ、涼ちゃん…」
私から離れていく涼ちゃんに、私は言葉にできない恐怖が全身を駆け回る。
「もう、暗いね。家まで送ってあげるよ」
「無視しないで!!!」
余りにも、不自然に私を無視する涼ちゃんに。私は、怒鳴った。