優しい幼なじみの君…【完】
「………………」
「なんで、私が話そうとしたら、遮るの?」
深呼吸してから私は、涼ちゃんに近寄って聞き出した。
「だって……、優知にフられるの怖ぃ……。ずっと一緒にいたから…。…もしフられたら…。……今までみたいに、話せなくなるから…。失敗した…。…俺…優知に想い伝えないように我慢してたのに………」
月光に照らされている涼ちゃんの背中を見ていると。肩を震わせている事に気がつく。
「……涼ちゃん」
「…さっき、言ったこと……なかった事にして?」
「………え?」
「俺…、優知にフられるって知ってるから……」
「涼ちゃん……」
「ごめんね。アホみたいな事、急に言って。…気にしなくていいから、…帰ろっか………」
涼ちゃんは、教室のドアに手を駆けて笑った。そんな涼ちゃんの笑顔に、…いつも私は……──。
「…………だ」
「……………ぇ?」
「嫌だ!私、涼ちゃんと一緒に居られなくなるの嫌だ!ずっと、涼ちゃんと一緒に居たいよ…。私の事、嫌いにならないでよ………」
ドキドキしていた。元彼にフられて、傷ついていても。涼ちゃんがいたら、そんな事は忘れられて。
いつしか、とっても…………。
「優知……?」
「…涼ちゃんといると……」
とっても、とっても……。
「ドキドキして、嬉しくて…。元彼といたときより、楽しくて…、元彼より……大切だよ……」
私は、緊張していて、足がブルブル震えている。