優しい幼なじみの君…【完】
見慣れたチャイムを押す。家の中から、ドタドタと慌てて走る音が聞こえてくる。
私は、荒い呼吸を整えて、ドアが開くのを待った。
ガチャッと、ドアが開くと、小さい頃から変わらない優しい笑顔で、幼なじみの彼が笑う。
「はーい……。…あ、優知!…どうし、…ぅわっ?!」
「りょーぢゃーん……!!!私、フられぢゃっだよー………!!」
私は、涼ちゃんが出て来ると、思いっ切り抱きついて、大声をあげて泣いた。
「……優知?……よしよし…。泣かないの……」
涼ちゃんは、優しく私の頭を撫でてくれる。私は、涼ちゃんに身体を預けた。
「…大…好き…だった…のに……。うわぁーーん!!」
「………そっか、そっか……」
涼ちゃんの服を、涙でぐちゃぐちゃにしてしまう。
そんな私に、涼ちゃんは文句一つ言わずに、長い時間、私に付き合っててくれた。