優しい幼なじみの君…【完】
「優知!」
私が、席に戻ると、親友の南が私の前の席に座って後ろを振り向く。
「んー?」
「アンタ、涼太君が本当に大好きだねー」
南が、ニヤニヤしながら、私と涼ちゃんを交互にみる。
「え?何?急に…。大好きなのは、小さい頃からだよ?」
「ふーん……。アンタってさ、鈍感って言われるでしょ?」
オデコをツンッと突っつかれる。私は、突っつかれたオデコを押さえながら、今までの事を何となく思い出す。
「うーん……?…言われないよ?」
「…言われても気付かないダケじゃない?」
「そんな事ないよー」
「………あっそー。…このままだったら、涼太君が可哀想だよ。いい加減、気付いてあげなよ。じゃあね、鈍感優知」
南は、呆れた表情で、自分の席に戻っていった。
「鈍感じゃないけどな……」
…でも、涼ちゃんが可哀想って……。どういう意味なんだろ………。…ま、まさか……。涼ちゃん、クレープ嫌いなのかな?!
そうだったら、どうしよう?!無理矢理、付き合わせる事に、なっちゃうよね?!
…いやいや、涼ちゃんは甘いもの好きだし。クレープも、嫌いな筈がない………。
じゃあ…、なんだろ?涼ちゃん、一人で、なんでも溜め込むからな……。
私が、しっかり支えてあげないとね!うん!頑張ろう!
───と、軽い気持ちで考えていたケド。
涼ちゃんの溜め込んでいた気持ちは、凄い辛かったって事が、この時の私には全く分かっていなかった…。