ラッキーセブン部
ー部室ー

「え!正弥先輩が呼んだスタッフじゃないんですか!」
「だから…何でそうなる。俺にこんな不良の知り合いなんているわけないだろ」
「だって、外人さん連れてきたし…」
「あれはおじの店の常連だよ。俺と直接は関係してない」

部室に帰ると不良さん達の正体を正弥先輩と近藤君から聞いた。
話によると、昨日、笹井先輩をナンパしようとした不良さん達らしい…。昨日、そんな事があったなんて…。
笹井先輩を見ると、栄先輩のおでこに湿布を貼っていた。

「はい。OK」
「ありがとうございます。正弥〜見て見て!第三の目が隠れてるんだよ」
「…古い」
「え〜じゃあ、今風に言うと?」
「そうだな。障子の破れ穴隠しだな」
「古い以外の問題がある答えだな」
「お、俺は良いと思いますよ」
「…」

正弥先輩は俺と近藤君を睨むと、違う答えを考え始めた。近藤君はまだしも、俺は褒めたつもりなんだけどな。

「あんた達。くだらない話してないで良いから、これからの事を考えてよ。この不良達と文化祭の出し物どうするの?」

それを見ていた笹井先輩はイライラとした様子で俺達にそう言った。すると、正弥先輩は違う考えを出すのをやめて、笹井先輩の質問に受け答えた。

「不良はほっとくとして…文化祭の出し物は練習したマジックで良いと思います。今、考えるとあの舞台でトランプマジックをやった所で全員に内容が伝わらなかっただろうしな」
「じゃあ、早速、看板を出して客を呼び込もう!」

栄先輩はそう言うと、自分のカバンから大きな用紙を出して、絵を書き始めた。
数分もしないうちに書き終わるとそれを椅子に貼り付け、外に置いた。

「那央。お前はどうするんだ?俺らともう一回闘うか?」
「きょ、今日は…帰る!次、会う時は絶対、負けないからな!」

近藤君がニヤリとしながらそう問うと不良さん達は吠えて、窓から逃げていった。彼らは一体、何しに来たんだろうか。もう少し傷の手当てをした方が良いと思ったんだけど。

「あいつは人の好意を無駄にする奴だから構わない方が良いぞ。佳介」
「あれ…?近藤君。どうして、俺の事を名前で?」
「あ、そういえば、そうだな。下の名前の方が呼びやすいんじゃないか」
「へ〜近藤君はやっぱり良い人だね」
「…お前もその呼び方やめたらどうだ?女子みたいだぞ」
「え!女子!」

近藤君って呼び方…女子なのかな?笹井先輩は皆の事をなんて呼んでたっけ…。正弥先輩は荻野、栄先輩は…坊ちゃん、近藤君は近藤、俺の事は倉石君。
皆、ほとんど違う呼び方だ…。何か意味があるのかな?というか、栄先輩の事を今だに名前で読んでいる所を見た事がない。

「じゃあ、隼一君」
「…女子」
「え!じゃ、じゃあ、隼一!」
「…クスクス」

また、笑われた。これは…バカにされている?それでも、二回目の隼一の笑いも俺には心地良く思えてた。心を開いてくれてるのかな…。
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