ラッキーセブン部
第四話 設立理由
正弥先輩にあの日、逢ってからまた、数ヶ月が立った。先輩に部長の情報収集してくれと言われているが今の所はまだ、何一つ分かっていない。ちょっと、昔の話でも聞いてみようかな。
「先輩達って、どうして、この部を作ったんですか?」
今日もポーカーで盛り上がっている二人に俺は質問をした。
「どうしてか…って言われると、困るよね?正弥?」
「俺がバカになってからだから、わからないな〜」
「ちょっ!バカって。学年一位の正弥に言われたら説得力ないんだけど…」
「…確か…あれは…」
「先輩。結局、話すんですね」
「うるせ。話さないぞ」
ここは黙って聞いておこう…。
「俺とこいつがレポートを出すために図書館で探し物をしてた時の事だな…」
「もしかして、あの子の話すんの?」
「黙って聞いてくれ」
「ごめん…」
…図書館で探し物と言っても、調べていたのは俺だけで栄は寝てたんだけどな。それで、数分…俺が本を読んでると目の前に誰かが座った。顔をあげると小学生くらいの女の子が、座ってて俺達の方をジッと見てたんだ。
「そして、正弥はロリに目覚めた」
ゴツっ!
「痛っ!」
…で、その女の子は数分立つと、その場から去っていった。まぁ、その日だけなら良いんだけどさ〜次の日も来たんだよね。だから、俺が思い切って、声をかけてみたんだ。
「俺達に何か用あるの?」
「……えっと…。その〜お兄さん達…高校生ですよね?…宿題、手伝ってくれませんか?」
「宿題…?」
高校生に聞くんだから、道徳に関する質問かな〜なんて思って身構えてたんだけど、ちょっと違ったんだよな。
「はい。私、この場所から、引っ越すんですけど…最後にみんなに何を言えば良いかなって思って」
「今までの思い出とか言えばいいだろ」
「そうだね…感謝の気持ちを言えばいいんじゃないかな?」
さっきまで、寝てたはずの栄は、起きて俺達の話に入ってきた。
「ありがとうございます!」
俺達が質問に答えるとその子は嬉しそうに俺達に笑いかけた。
「でさ…質問なんだけど、どうして俺達に聞いたの?」
「その…私のおねぇちゃんがお兄さん達のどちらかを好きなんです。多分」
「「はい?」」
俺達のどちらかを好き?この子の姉が?俺達は顔を見合わせたよ。息ピッタリにね。
「引っ越す前に伝えたいけど、無理って言ったから、私が伝えに来たんです」
「俺らのどっちかって…分からないの?その…名前とか」
「分かりません…。けど、『7』の数字を持ってる人なんです。本を広げているお兄さんは出席番号が7ですよね?で、寝てたお兄さんは電話番号が7ですよね」
なるほど…、だから、俺達の事をずっと見てたのか。
「でもな…。俺達じゃない可能性もあるだろ」
「確かに…そうですね」
「それに、引っ越ししたら、尚更、意味ないよね。聞き損っていうか…」
「ごめんなさい。あたしのお節介でしたね…」
その子は気まずそうに俺達の方を見た。この子の気持ちはよく分かったけど俺達にどうこうできるはずがないんだよな…。そんな事を考えていると、俺達の会話に変な間があいた。
「じゃあ、俺らでも探そうよ。『7』を持ってる人」
栄は最初に口火を切り、そう言って無邪気に笑った。
「別に構わないけど、間に合うのか?」
「あ。あたし達は今月、引っ越すんですけど、あたしとおねぇちゃんとおかあさんだけ、ここに戻ってくるんです。来年」
「じゃあ、来年までに見つければいいんだね。だって、正弥」
「…じゃあ、来年までに見つけるよ。そんで、君のお姉さんに写真見せて反応を伺えば良いだろ」
…そして、俺達の答えにその子は嬉しそうに笑って帰っていった。
「ていうわけだ。分かったか?佳介」
「よく分かりました。つまり、その子のお姉さんのための部活っていうわけなんですね?で、俺もその候補の一人だと…」
「あぁ。そうだ」
「でも、名前くらい聞いとけば良かったよね。何で、聞かなかったの?正弥」
「俺達っていう確証がないのに、聞くのは良くないだろ。あの子のお節介でもあるわけだし」
「確かにね〜」
今日はこの部の秘密が一つ分かった気がするな。メモメモっと…。
「お前…何してんだ?」
「いや〜。勉強です」
「っ!笹井先輩⁉」
その時、窓の外で先輩が段ボール箱を持って何処かへ向かう姿が見えた。
「正弥先輩、先輩の事、知ってるんですか?」
「知ってるも何も。正弥と笹井先輩はつきあっ…んご?!」
何かを言おうとした栄先輩の口を正弥先輩がすかさず塞いだ。しかし、俺にはほとんど言葉が聞こえていた。
「正弥先輩、笹井先輩と付き合ってるんですか?」
「さぁな…どうだろう」
「そうですか。でも、笹井先輩は部長のファンだって言ってたんですけど…」
「本当の部長は栄だよ」
「えっ!先輩は俺のファンなの?!」
「えっ!栄先輩が本当の部長なの?!」
「おい!君達はいつまでここを使うんだ!」
「「「ゲッ!」」」
いつの間に入ってきたのか、吉田先生が怪訝そうにこちらを見ていた。
「先生…いつからそこに?」
正弥先輩は少し引きつった顔で、吉田先生にそう訪ねた。
「そうだな。荻野と笹井が付き合ってるって所からだったな」
何で今まで誰も気づけなかったんだろう…。というか…正弥先輩、今、すごく泣きそうな顔をしてる…。
「先生〜そこ、どいてください」
「ん?笹井じゃないか、どうしたんだ。その箱」
「今から委員の話し合いをあの3人とするんです。この箱はその資料です」
「そうか。…じゃあ、お前ら頑張れ」
笹井先輩がそう言うと、吉田先生はすんなりとその場を去っていった。
「あいつの弱点が分かった。女だ」
「俺も正弥の弱点、分かった。先輩でしょ?」
ゴツっ!
正弥先輩は栄先輩の頭をグーで殴りつけていた。結構…痛そう。
なんて事をしていると、笹井先輩が部室に入ってきて、段ボール箱を机の上に置いた。そして、俺らの方を向くと、ニコッと笑った。
「今日のラッキーセブン部の活動は何をしてるの?」
「昔話…です」
「へ〜。昔話か…。私もしていい?」
「笹井先輩は部員ではないでしょ?」
正弥先輩はなぜか冷たく言い放っていた。
「良いじゃん。ちょっとくらい、それにさっき、吉田先生を退却させてくれたんだし。俺らにとってはラッキーだろ?」
それを見た栄先輩は二人の間を、取り持つようにそう言った。
「じゃあ、良いですよ。昔話しても…」
正弥先輩は渋々という感じで、頷いた。はたからみれば、正弥先輩はツンデレにしか見えない状況だ。俺がクスッと笑うと、正弥先輩は初めて俺を殴った…。
「先輩達って、どうして、この部を作ったんですか?」
今日もポーカーで盛り上がっている二人に俺は質問をした。
「どうしてか…って言われると、困るよね?正弥?」
「俺がバカになってからだから、わからないな〜」
「ちょっ!バカって。学年一位の正弥に言われたら説得力ないんだけど…」
「…確か…あれは…」
「先輩。結局、話すんですね」
「うるせ。話さないぞ」
ここは黙って聞いておこう…。
「俺とこいつがレポートを出すために図書館で探し物をしてた時の事だな…」
「もしかして、あの子の話すんの?」
「黙って聞いてくれ」
「ごめん…」
…図書館で探し物と言っても、調べていたのは俺だけで栄は寝てたんだけどな。それで、数分…俺が本を読んでると目の前に誰かが座った。顔をあげると小学生くらいの女の子が、座ってて俺達の方をジッと見てたんだ。
「そして、正弥はロリに目覚めた」
ゴツっ!
「痛っ!」
…で、その女の子は数分立つと、その場から去っていった。まぁ、その日だけなら良いんだけどさ〜次の日も来たんだよね。だから、俺が思い切って、声をかけてみたんだ。
「俺達に何か用あるの?」
「……えっと…。その〜お兄さん達…高校生ですよね?…宿題、手伝ってくれませんか?」
「宿題…?」
高校生に聞くんだから、道徳に関する質問かな〜なんて思って身構えてたんだけど、ちょっと違ったんだよな。
「はい。私、この場所から、引っ越すんですけど…最後にみんなに何を言えば良いかなって思って」
「今までの思い出とか言えばいいだろ」
「そうだね…感謝の気持ちを言えばいいんじゃないかな?」
さっきまで、寝てたはずの栄は、起きて俺達の話に入ってきた。
「ありがとうございます!」
俺達が質問に答えるとその子は嬉しそうに俺達に笑いかけた。
「でさ…質問なんだけど、どうして俺達に聞いたの?」
「その…私のおねぇちゃんがお兄さん達のどちらかを好きなんです。多分」
「「はい?」」
俺達のどちらかを好き?この子の姉が?俺達は顔を見合わせたよ。息ピッタリにね。
「引っ越す前に伝えたいけど、無理って言ったから、私が伝えに来たんです」
「俺らのどっちかって…分からないの?その…名前とか」
「分かりません…。けど、『7』の数字を持ってる人なんです。本を広げているお兄さんは出席番号が7ですよね?で、寝てたお兄さんは電話番号が7ですよね」
なるほど…、だから、俺達の事をずっと見てたのか。
「でもな…。俺達じゃない可能性もあるだろ」
「確かに…そうですね」
「それに、引っ越ししたら、尚更、意味ないよね。聞き損っていうか…」
「ごめんなさい。あたしのお節介でしたね…」
その子は気まずそうに俺達の方を見た。この子の気持ちはよく分かったけど俺達にどうこうできるはずがないんだよな…。そんな事を考えていると、俺達の会話に変な間があいた。
「じゃあ、俺らでも探そうよ。『7』を持ってる人」
栄は最初に口火を切り、そう言って無邪気に笑った。
「別に構わないけど、間に合うのか?」
「あ。あたし達は今月、引っ越すんですけど、あたしとおねぇちゃんとおかあさんだけ、ここに戻ってくるんです。来年」
「じゃあ、来年までに見つければいいんだね。だって、正弥」
「…じゃあ、来年までに見つけるよ。そんで、君のお姉さんに写真見せて反応を伺えば良いだろ」
…そして、俺達の答えにその子は嬉しそうに笑って帰っていった。
「ていうわけだ。分かったか?佳介」
「よく分かりました。つまり、その子のお姉さんのための部活っていうわけなんですね?で、俺もその候補の一人だと…」
「あぁ。そうだ」
「でも、名前くらい聞いとけば良かったよね。何で、聞かなかったの?正弥」
「俺達っていう確証がないのに、聞くのは良くないだろ。あの子のお節介でもあるわけだし」
「確かにね〜」
今日はこの部の秘密が一つ分かった気がするな。メモメモっと…。
「お前…何してんだ?」
「いや〜。勉強です」
「っ!笹井先輩⁉」
その時、窓の外で先輩が段ボール箱を持って何処かへ向かう姿が見えた。
「正弥先輩、先輩の事、知ってるんですか?」
「知ってるも何も。正弥と笹井先輩はつきあっ…んご?!」
何かを言おうとした栄先輩の口を正弥先輩がすかさず塞いだ。しかし、俺にはほとんど言葉が聞こえていた。
「正弥先輩、笹井先輩と付き合ってるんですか?」
「さぁな…どうだろう」
「そうですか。でも、笹井先輩は部長のファンだって言ってたんですけど…」
「本当の部長は栄だよ」
「えっ!先輩は俺のファンなの?!」
「えっ!栄先輩が本当の部長なの?!」
「おい!君達はいつまでここを使うんだ!」
「「「ゲッ!」」」
いつの間に入ってきたのか、吉田先生が怪訝そうにこちらを見ていた。
「先生…いつからそこに?」
正弥先輩は少し引きつった顔で、吉田先生にそう訪ねた。
「そうだな。荻野と笹井が付き合ってるって所からだったな」
何で今まで誰も気づけなかったんだろう…。というか…正弥先輩、今、すごく泣きそうな顔をしてる…。
「先生〜そこ、どいてください」
「ん?笹井じゃないか、どうしたんだ。その箱」
「今から委員の話し合いをあの3人とするんです。この箱はその資料です」
「そうか。…じゃあ、お前ら頑張れ」
笹井先輩がそう言うと、吉田先生はすんなりとその場を去っていった。
「あいつの弱点が分かった。女だ」
「俺も正弥の弱点、分かった。先輩でしょ?」
ゴツっ!
正弥先輩は栄先輩の頭をグーで殴りつけていた。結構…痛そう。
なんて事をしていると、笹井先輩が部室に入ってきて、段ボール箱を机の上に置いた。そして、俺らの方を向くと、ニコッと笑った。
「今日のラッキーセブン部の活動は何をしてるの?」
「昔話…です」
「へ〜。昔話か…。私もしていい?」
「笹井先輩は部員ではないでしょ?」
正弥先輩はなぜか冷たく言い放っていた。
「良いじゃん。ちょっとくらい、それにさっき、吉田先生を退却させてくれたんだし。俺らにとってはラッキーだろ?」
それを見た栄先輩は二人の間を、取り持つようにそう言った。
「じゃあ、良いですよ。昔話しても…」
正弥先輩は渋々という感じで、頷いた。はたからみれば、正弥先輩はツンデレにしか見えない状況だ。俺がクスッと笑うと、正弥先輩は初めて俺を殴った…。