SOAR!
ベッドの上でスマホを眺めて、緩む頬を抑えることも出来ずに足をバタバタさせる。
さっきまで通話していた小谷さんの声が耳から離れない。
好きだと言えば、私も、と恥ずかしいのがヒシヒシ伝わる声で、それでも、これからよろしくお願いします、と照れながら嬉しそうな声で。
可愛くてたまらない。
今日のこと、どれを思い出しても幸せが込み上げてくる。
いつの間にか、バスケしか知らなかった俺の心に恋の楽しさを教えてくれた彼女。
今まで俺を応援してくれた女の子の誰よりも、大人しくて目立たないかもしれない。でも、俺にとっては、誰よりも可愛くて目を奪われた。
「…そういや、告るより先唇を奪っちまった…」
そう気付いたとき、感じたのは恥ずかしさよりも、これからも彼女とキスが出来るんだって喜びだった。
眺めていたスマホを置いて時計を見れば思っていたより遅い時間で、布団に潜る。
土曜日の明日も部活はあるし、自転車は学校だから歩いて行かなければならないし、早く寝なきゃ…寝なきゃ…寝な、…。
「…眠れねぇ…」
いくら目を瞑っても、浮かんでくるのは彼女の笑顔で。
結局、寝付いたのは明け方近くだった。