SOAR!

「なぁ、お前、あの子知ってるか?」

「どの子?」

秋の練習試合だったか、友人が突然聞いてきた。言われた先を見ると、女の子ばかりでどの子かわからなかった。派手目な子も多くて、中には手を振ってくれる子もいた。

「…あ、」

「そうだよあの子!髪がふわふわした背が高めの!お前知ってる?」

「えっ、あ…知らねぇ」

「お前ファン多いし知ってると思ったんだけどなぁ」

あの子可愛いなぁ。と呟く友人には悪いが、俺はその隣での女の子に釘付けになった。

渡り廊下の黒髪の子!

目が合って、彼女は慌てて下を向いた。

(…俺のファンだって思って良いんだよな)

今までファンの子に興味はなかった。バスケするのに必要ないし。でも、ファンがいることで尚更頑張ろうと思えたのはこのときからだった。


練習試合は圧勝だった。


< 4 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop