愛し*愛しの旦那サマ。

うぉっ、と、よろめきながら引っ張られた方向を見ると、


「臣くん……!」


臣くんが立っていた。


何、やってんだ?


的な冷たい(プラス呆れた)目で。すると、


「あっ、サチ、もしかしてこの人が噂のサクライさん?」


そう暢気に私に聞いてくるジョージ。


「そ、そうだけど……」


と、私が答えると、ジョージは両手をジャケットで拭ったあと、


「はじめまして!俺、サチの元彼の滝山ですっ」

いや~、風の噂で聞いてはいたんですけど、凄い、イケメンですね~


と、ジョージは臣くんの両手をとってシェイクハンドしだした。


「……どーも」


とだけ、言葉を返す臣くん。


「サチ、確か、サクライさんって法学部だったんだよな?」


コイツはまた何を言い出すんだ、と思いながらも、


「は?そうだけど?」


一応答えてあげる私。


すると、


「あのー、(借金の)過払いの事とかって、詳しいですか?あ、債務整理的なことで……」


と、ジョージの口が変な方向に暴走し出したので、


「それなら、すっごい優秀な司法書士(←塚本)紹介してあげるからっ!!」


と言って、臣くんとジョージを引き離し、


「じゃあ、私達急ぐので」


と、ニッコリ、(偽)笑顔を作って、その場を後にしたのでした。


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