愛し*愛しの旦那サマ。


「臣くんが既婚者だってこと……みんなちゃんと存じてくれてるの?」

「結婚指輪でわかるだろーが」

「じゃあ、何故にこんなにも本命めいたモノがわんさかあるのっ?」

「知るかよ。大体、俺もいらねーよ。バレンタインなんてくだらないし興味ない」


そう冷たく言う臣くん。

確かに、去年も今までもバレンタインは血糖値が上がりそうなくらいのチョコやその他を臣くんは貰ってた。だけど、去年と今年との大きな大きな違いは、この幸代という臣くんの妻がいるかいないか。

既婚者になっても、本命を匂わせるモノがあるだなんて、これは幸代、籍を入れたからといって油断出来ないわ。

既婚者に……


「こ、こんな高級ネクタイまでも添えて……」


ネクタイを持ち上げる手がプルプルと震える。

すると、


「確か、それは有給使って週末に行ってた沖縄旅行の土産とか言ってたけど」


という臣くんの補足に、手の力が緩み、ネクタイをハラッと落としてしまう。


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