愛し*愛しの旦那サマ。

それから慌てて、さっさと車に戻ってしまった臣くんを追いかけ、勢いよく助手席に飛び乗ると、


「ねぇ、臣くん……」

「何だよ?」

「今のコが例の秘書の藤枝さん?」


―…聴取開始。


「そーだけど……」


と、答える臣くんは明らかにこれからの面倒な展開を予想してるご様子。


「秘書って臣くん担当の秘書だったんだね……」

「ああ」

「でも、以前に秘書がどんなヒトか聞いたときは、年齢53歳、既婚者、ふくよかな体格をした高柳さんっていうオバちゃん(以前、情報仕入れ済み)だったよね?」

「……高柳さんは去年の暮れに旦那の転勤で事務所やめたんだよ。それで、代わりに所長の姪とかいう今の藤枝ってのが入ったんだよ」


くぅ……高柳さん、カムバックしてほしいぃ。

しかも、所長の姪って……


「所長の姪という特権を使われても、相手しちゃダメだからねっ!」

「何の話だよ」


あぁっ、もうっ!

ああいうタイプの女がいるから、職場に油断出来ないのよっ。



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