愛し*愛しの旦那サマ。
っていうか、
「だぁーっ!!もうっ!ツケマツケマツケマうるさぁいっ!!!自前のマツゲがあるでしょーがっ自前のまつ毛がぁっ!!」
キッチンで夕食の準備をしながら思わず一喝してしまう私。
「はぁ?つーか、おねーちゃん、まさかツケマ愛用してないの?自前のまつ毛短いくせにー」
「いいのっ。私はマスカラ三回重ね塗りくらいで」
「ふ~ん。どうでもいー情報ありがとー」
「……(コイツハ……)」
時は遡ること、約三時間前―…
全ての始まりは一本の電話。
自宅の固定電話から鳴ったエリーゼのためにから始まった―…
「はい、櫻井―…」
櫻井です。
と、言い終わらないうちに、
『あー、幸代?元気してるー?』
受話器から聞こえたのは、実母の声。
「母さん?それなりに元気だけど……どうしたの?(珍シイ…)」
『いや、そろそろ着いた頃かなって思って~』
「??荷物でも送ってくれたの?」
『えーっ?荷物じゃなくて……あっ、ちょっとお父さんっ!』
お父さん??
『よぉー、幸代、元気しちょるか?臣くんと上手くやっちょるかー』
いきなり通話相手が父にチェンジ。
「えっ?そりゃあ、もう円満極まりないくらいだけど……で、用件は何?愛する娘の声を聞きたいだけ?」
『ああ、そう言えば、声聞くの久しぶりじゃの~そっちは、もう暖か……おい、母さ……』
何、二人でやってんの??
(ソンナニ愛娘ノ声ヲ聞キタイノネ?)