愛し*愛しの旦那サマ。
愛する臣くんが待つマイホームへ全力疾走!
は、いいけど、心は常に若いつもりでも、身体は正直、二十六歳……
久しぶりの全力疾走は、十代の頃に比べると、かなりしんどいです……
っていうか、私こんな時に限って何でミュールなんて履いてるの?とんでもなく、走り難い……!
でも、さすがの私もミュールを脱いで素足でご近所を駆けていく勇気もないから、
結局、我慢の全力疾走……!
愛しの臣くんに、早く朝食の準備をしなければ!ただ我武者羅に走リマス!エレベーターのボタンも意味無く連打しちゃいます!
全力でご近所を駆け抜けた幸代は、
「ハァ……ハァ……ッ……」
我が家の玄関前に着きました。
心臓の鼓動と息切れがとんでもない事態です。
だけど、臣くんの朝食のことを思うと、走らずにはいられなかったのです……
っていうか、ごめんなさい。
私が早く臣くんに会いたいだけなんです……!
そして、どうか。
どうか、お腹を空かせた臣くんがご機嫌を損ねていませんよーに!
そう。
心の中で祈りながら、玄関のドアを開けると、
「っ……ギャーッ!!」
予想外にも臣くんが立っていたので、思わず反射的に叫んでしまった私。