愛し*愛しの旦那サマ。


「……何で機嫌悪いと思う?」

「私があまりにも遅く、朝食がまだだからだと思います……」

「何で携帯、持って出ないの?」

「直ぐに戻る予定でしたし、何だかうっかりしてました……」

「こっちはわざわざ着替えて、わざわざお前を捜しに出るところだったんだけど」

「ホントに今回の件についてはご迷惑を……」


おかけしました……と、

また再び、謝罪の言葉を述べようとした口が一時停止する。


「し、心配してくれたの……?」

「まぁ、俺が一人で行かせたんだし。一応は」

「心配かけてごめんなさい……あ、あのね……」


と、

再度、秘書藤枝とばったり会ってしまってからのことを説明しようと思ったけど、同じ職場で仕事をしていることを考えると、まぁ今回の件は幸代妻の余裕というコトで、具体的な内容は伏せて置いてさしあげよう……(イヤ、実際、腹ハタツケド)

そう思って、


「ふ……」


藤枝さんにバッタリ会ってしまって、

それだけ言おうとした私。

すると、臣くんに、


「とりあえず、一歩前」


と、言われ、言われた通りに、一歩、臣くんへと近寄る。


< 259 / 498 >

この作品をシェア

pagetop