愛し*愛しの旦那サマ。

なぜ、臣くんが九州にいる筈の父に連れ出され。

なぜ、私が(理沙子は良しとして)塚本と家呑み状態になっているのか。

現状に至るまでの経緯は、というと―…




本日、ゴールデンウィーク一日目、午前中は家でまったり過ごして、午後からショッピングモールぶらぶらに行く予定だった私と臣くん。

昼食を食べて、片づけをして~

さぁ、そろそろお出かけしますか!

という具合になった時、


タララララララン~♪


お約束の展開で自宅の固定電話から“エリーゼのために”が鳴りました。


「はい、櫻井です」


と、電話に出ると、


『……あ、幸代?』


受話器越しに聞こえるのは、実父の声。


『父さんなんだけど……すまんね、いきなり電話して……元気してるかい?』

「普通に元気だけど、どうしたの?また、愛娘の声が聞きたくなった?」

『ああ……それもそうなんやけど……その……ほら、前の会社で一緒だった坂井さんって、わかる?』

「あー、よく一緒にゴルフに行ったり、飲みに行ったりしてた坂井さん?」

『そうそう……!実は、今日、その坂井さんの娘さんの結婚式があって、父さんも出席することになってて……』

「へぇ~…」


って、

ん?

九州に帰る前まで勤めていた会社の同僚、坂井さんの娘さんの結婚式に出席ってことは―…


「父さん、こっちに出てきてるの?」

『そ、そうそう……!そうなんやけど……』


そうなんだけど。

どうして、我が父は、そんなにもじもじとした口調なんでしょうか?

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