愛し*愛しの旦那サマ。
でもね。
主導権を何時も握られているのも何だかくやしいから、
「……片付けが」
そんな精一杯で些細な仕返しの言葉を呟いてみる私。だけど―…
「今、物凄く抱きしめて触れていたいんだけど、」
“ダメなの?”
臣くんのたまにしかくれない甘い言葉と誘惑に私が勝てるはずもなく、
ジャーッ……
と、シンクに出しっぱなしになっていた水を
キュッ、
と、止めてしまう私。
「こっち、向いて」
臣くんの言葉で、キッチンカウンターと向き合っていた私の身体が臣くんと向き合う状態になる。
臣くんの両手が私の頬に優しく触れて、
口唇が重なる―…
「何で昼間、途中でやめたと思う?」
「電話が、鳴ったから―…」
「……電話切った後、何で続きしなかったと思う?」
臣くんから出された問いを考えるけど、答えがすぐに出てこないから、
「何で……?」
臣くんの瞳を見て、聞き返す。