愛し*愛しの旦那サマ。
タクシーの中に備え付けられているデジタル時計が知らせてくれる時刻は、
“AM0:07”
今度は一筋の涙が頬を伝う。
知ってるよ。
臣くんが簡単に他の女性の誘惑になんかのらないこと。
信じてる。
例え、部屋まで送るだけなのに、なかなかマンションを出てきてくれなくても疚しい事なんてないことを……
これまでは、ちょっとした不安に駆られても、多少の妄想や冗談を挟みながらでも、
“臣くんを信じる”
普段はそっけなくても、ちゃんと私を想ってくれている、
“臣くんの愛を信じる”
そんな当たり前の想いが、なぜか今日という日に限って大きく揺るがされて、ほんの一瞬ではあったけど本気で臣くんを疑ってしまった自分がいて―…
そんな自分が許せなかった。
許せなかったし、日付は変わってしまったけど、私にとっては凄く大事な大切な日に、
“嫉妬”や“疑惑”
そんな言葉ばかりを考えて、本気で不安になって涙まで流している自分を見せたくなかった。
大好きな臣くんに―…見せたくなかった。