愛し*愛しの旦那サマ。
理沙子の結婚を含め、同僚の○○が寿退社する~とか、高校時代の友達の○○が結婚する~とか、そんな話題を臣くんにふってみても、返って来る返事は、
「ふーん……」
とか、
「あっそう」
とか、そんな調子で、さりげなく結婚情報誌をその辺に置くというベタな手を使っても、全く無反応。
臣くんの口から、結婚という言葉なんて出てくる筈もなく……
「私の名字が変わる日は、まだ遠そう……」
そう私がローテンションで呟くと、
「―…じゃあ、アンタに面白い話、教えてあげる」
と、理沙子。
「面白い話?」
「うん」
「どんな……?」
「私のお姉ちゃんの友達の話なんだけどさぁ、十年間交際してプロポーズしてくれない彼に意を決して、結婚するか別れるかどっちにするかを今すぐ決断してって言ったらしいのね」
「へぇ~…」
「そしたら、その彼は即座に結婚を選択してくれたって」
「……それを、私に試せと?」
「そうは言ってないじゃん。たまたま聞いた、とあるカップルの話をしてあげただけよ」
理沙子のそんな話に、何だか、そんな二者択一的な感じで結婚を決められてもなぁ……
と、思いつつも、理沙子とのディナーを終えて、帰宅後―…