愛し*愛しの旦那サマ。

臣くんと私の目線が一緒になる。

少しの沈黙……

この間が私の心を一層ドキドキさせる。

そして―…


「俺と式を挙げてもらえる?」


臣くんの放った、まさかの言葉に、


「……」


呆然とする私。


「おい、聞いてんのか?」

「き、聞いてますっ」

「何とか言えよ」

「な、何とかって……ど、どうして急に……だって、一年前、式とか写真は却下って……」


そう言われて結納と入籍だけを済ませて―…

だけど、やっぱり挙式やドレスとかに憧れて、ちょこちょことアピールはしていたけど、臣くんは全くの無反応だったし、私も内心、諦め掛けていたのに……

どうして、また急に……?

そんなことを思っていると、


「その件に関しては、お前が悪い」


と、臣くんが言う。


「わ、私が?」

「俺も色々考えてた時期に、お前が変なこと言って焦らせて、言わせたのが悪い。だから、捻くれた結果になったんだよ」

「か、仮にってしつこく何度も言ったのに……」

「焦ったものは焦ったんだから仕方ないだろ。ちなみに、昨日の夜もな」

「夜も……?」

「武井と話した後、そのまま家出てタクシーつかまえて、近くの漫画喫茶で四時間以上」

「うそっ」


むしろ相変わらず冷静に対応してたぐらいに思ってたのに。あの臣くんが、漫画喫茶で四時間??


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