愛し*愛しの旦那サマ。
彼は、というと、
「じゃー、臣、お前さっそく自己紹介しろ」
そんな理沙子の男友達の言葉に、
「面倒くさい。お前、適当にやって」
と、ホント面倒そうに答えてる。理沙子の男友達は、
「ったく、お前はいつも愛想がないな~、じゃあ、俺がかわりに」
コホン、とわざとらしい咳払いをして、
「この遅れてきたイケメン君は同じ法学部の櫻井臣くん。こんなルックスだから世の女子が放っておかなくてさぁ、待ち伏せされて告られる位モテモテ男なんだよ~」
と、自慢げに彼を紹介した。
“櫻井臣”
なんて、なんて素敵な響の名前なのかしら……そんな名前も素敵な臣くんに、
「ねぇ、ねぇ、臣くんは彼女いるの?」
早速、一緒の学部の女子が興味深々で声をかけてる。
「……いない」
そんな返しに私は、「よっしゃ!」とテーブルの下で形は小さく心の中ではビッグにガッツポーズ。
そして、同じ学部のコは臣くんに質問を続ける。
「どんなタイプのコが好み?」
「別に」
「じゃあ、逆にニガテなタイプは?」
「別に」
「えーっと……あ、ほら、もう少しで卒業でしょ?就職何処に決まったぁ?」
「なんで、アンタにそんなこと言う必要があるの?」
「……」
一瞬辺りは、シーンと静まり返ってしまう。
理沙子は臣くんの当時の態度にはドン引きしたって言ってたけど、私はそんなのお構いナシでその素敵なヴォイスに聞き惚れていた。
ちなみに周りの男子は酒豪なワタシにドン引きだったみたいだけど、そんな事は気にならない。