愛し*愛しの旦那サマ。
何時の間にか彼女は、
「好き」
「大好き」
「付き合って」
そんな言葉をまるで挨拶でもするかの様にストレートに伝えてくるようになっていた。
それに加えて、時には適当な理由をつけて俺のマンションにまで来る始末。
勿論、立ち入りを許すのは玄関までだが、それからの流れで飯や近場まで出かけたりすることも何度かあり―…
俗に言う“一目惚れ”らしいが、あんな泥酔状態の出会いで何がどうなったらそんな感情が生まれてくるのか不思議でならない。
大体、あの日。
あんな顔をして男の名前をつぶやいていたのは何だったんだ―…
気分良さげに帰宅していく彼女の後姿を見ながら、度々そう思う。
そんな感じで、もはや習慣になってしまった仕事帰りの彼女と俺のやりとり。
直球で気持ちを伝えてくる彼女をかわす自分。
かわしても尚、俺の前に現れる彼女。
鬱陶しさを感じながらも、そんな関係に何時の間にか慣れてしまっていた、出会いからの約一年半目。