愛し*愛しの旦那サマ。
そんな付かず離れられずの様な関係が自分の中で確実に動き出したのは―…
彼女と出会った飲み会以降、断固拒否をしてきた塚本からの恒例の誘いを承諾した事からだったと思う。
『今夜は暇してますか?』
「……いつもの飲み会だったら行かないぞ」
『いやいや、今夜はそういう類のものではないんだなぁ~』
「じゃあ、どんな類だよ」
『実はさぁ、ビアガーデンの割引券もらっちゃったんだけど、八名様からの使用可なんだよ~純粋に飲みのお誘いなんだけど~』
翌日、土曜日の夕方。
塚本から、ビアガーデンへの誘いの連絡。
「他を当たれ。じゃあ、切るぞ」
どうせこのまま携帯越しに断り続けても、塚本の事だ。しつこく粘り続けるだろう。
そう思った俺は、塚本との通話をさっさと切ろうとした。
が、
『理沙子と幸代ちゃんは俺の誘いに付き合ってくれるっていうのに、臣はホント冷たい男だなぁ~…』
塚本の口から出てきた彼女の名前に、一方的に通話を切ろうとしていた手が無意識に止まる。