愛し*愛しの旦那サマ。

ビアガーデンに着いたのは開始時刻ちょうど位。

あの日と同じ様に男女が向かい合うよう座っていて、俺は塚本の隣りの空いた席に座る。


「今夜は時間通りに来てくれる気がしたから、乾杯待ってた~」


そんな塚本の言葉に、


「あっそう」


とだけ返す。

そして、みんな生ビールを片手に、久々に聞いた塚本のコールで乾杯。

お馴染みの自己紹介は既に完了していたらしく、フリ無しで塚本が何時もの口調で俺の紹介をする。

その後、食事はバイキング形式の為、全員が席を立った。

すると早速、


「臣く~ん」


俺の名前を呼びながら、側に来た彼女。


「塚本クン、臣くんが来るなんて一言も言わなかったからかなりびっくり。というか、かなり嬉しい」


その日、まともに彼女の顔を見たのはこの時。

ニコニコと相変わらずの笑顔。


「今日はあの日みたいな事になるなよ」

「それってもしかして心配の言葉?」

「俺みたいな被害者を出さない為に言っただけ」

「そんな優しい臣くんもスキ」


そして、相変わらずの言葉。

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