愛し*愛しの旦那サマ。


「やっぱり今日は俺が来てあげて良かったでしょ?」

「何でだよ」

「休日にいつもいてくれる愛する幸代ちゃんがいない状態での独りぼっちだったら、臣、今頃、禁断症状が出てるよ~」

「……」


横目で俺を見ながら、塚本がニヤリ、と笑う。


“禁断症状”


そんな事、わざわざ言われなくてもわかってる。


珍しく彼女がいない。

そんな休日は、気付けば何時も彼女の事を考えている。

時々。

彼女以上に自分が、幸代がいないと駄目なんじゃないか、と、そう思う位に。

そして、


「臣は何だかんだで、かなり一途だよね」

「お前もな」


天使だかキューピッドだか知らないが、幸代と出会えたのは確かに塚本のおかげだ。

こんな性格の自分が、


「感謝してる」

「え~、いきなり何ぃ?」

「幸代と会わせてくれて」


素直にそう言ってしまうほど、あんなに最悪で、だけど忘れられない。

あの日の出会いには感謝している。


< 459 / 498 >

この作品をシェア

pagetop