愛し*愛しの旦那サマ。
「臣クン、やけに今日は素直だねぇ」
「別に……」
「今の言葉、幸代ちゃんに教えてあげてもいい?」
「お前が何度目かの正直に賭ける気があるなら、構わないけど」
「いやぁ~、それはまだ勇気が出ないわ~」
そんなやりとりをしながら、ソファーに座り、テレビ画面を見続ける俺と塚本。
今日は、ドラマの内容が頭に入ってこない。
塚本に言い当てられても尚、彼女の事をぼんやりとまた考える―…
そんな状況に、つくづく彼女が恋しいのだと思い知らされるばかりだ。
それから塚本は、というと―…
海外ドラマを三本見て、幸代が作っていったビーフシチューまで食べると、
「幸代ちゃんがいなくて寂しい日はまた相手してあげるからね~」
そんな余計な世話を言い残し、やっと帰っていった。
寂しいのは俺だけじゃないだろ、
そう心の中で呟きながら玄関ドアを施錠し、リビングへ向かう。
が、
リビングドアのノブに手を掛けた瞬間、
「……」
玄関ドアの向こうで、ガチャガチャと物音が聞こえ立ち止まる。