愛し*愛しの旦那サマ。
忙しい物音が聞こえたかと思うと、
「臣くんっ!!!」
俺の名前を叫ぶ声と同時に、勢いよく玄関ドアが開く。
「臣くんっ……!」
顔を見るなり、もう一度俺の名前を呼ぶと、履いていたパンプスを脱ぎ捨て、
「大丈夫だったっ?!」
目に涙を浮かべながら、かなりの勢いで抱きついてきた幸代―…
なぜ、そんなに慌てているのか、
何が大丈夫なのか、
帰宅早々、言動が意味不明。
バッグも引き出物が入った袋も持ったまま、かなりの力で彼女は俺の身体に両腕を回し、胸の辺りに顔を埋めてくる。
「何が?」
「な、何がって……塚本!」
「塚本?」
「今まで家にいたんでしょっ??エレベーター開いた瞬間に塚本がいて、私のカオ見た瞬間に、“あ~幸代ちゃんに見つかっちゃった~”とか意味深に笑いながら、“今日はずっと臣と一緒だったからね~”なんて言い残してエレベーターに乗っていっちゃったのぉっ!塚本が私の愛する臣くんに何かちょっかい出したんじゃないかって思って……っ」
「……」
またアイツは幸代に余計なことを……
涙混じりで必死な幸代の言葉を聞きながら呆れる。