愛し*愛しの旦那サマ。


「ちょっかいって何だよ」

「だ、だって、塚本、ヘンタイだから、臣くんを百合華お姉さまと重ねて何かしたんじゃないかって……!」

「そんな気持ち悪い想像を勝手に膨らますな」

「だってぇ、塚本ったら、まるで妻不在中に上がりこみ如何わしい行為をした後の女子の様な瞳で私を見たのよぉっ~…!」

「お前な……」


毎度のことだが、塚本の冗談としかとれない挑発にのっても仕方ないだろ。

大体、塚本の本命を知っているのなら尚更、妙な想像は控えて欲しい。

と、そうは思うが、呆れながらも結局、

そんな必死な彼女も可愛いと思う。


「何でもいいけど、顔上げろ。化粧がつく」

「ス、スミマセン……」


“化粧がつく”なんて嫌味な言葉は、単なる口実。


ただ自分が彼女の顔を見たいだけ。

そして、


「そう言えば、ただいま……言い忘れてた……」


そんな言葉と一緒にゆっくりと顔を上げた彼女が、


「……おかえり」


普段とは、また別に見せる可愛さ。


こんな状況で、その可愛さは反則だろ。


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