愛し*愛しの旦那サマ。
八月下旬。
玄関とリビングを繋ぐ廊下で口唇を重ねれば、体感温度は上昇するばかり。
「熱い、ね」
「脱げばいいよ」
ワンピースのファスナーにゆっくりと手をかければ、露になる彼女の素肌。
「何だか、今日は凄く緊張する……」
そんな風に恥らう姿を見て、あの日の彼女が脳裏に浮かぶ。
それから、火照る身体の熱を抑えようと寝室へ入りエアコンを入れる。
けれども、絡まりあう身体が更に熱を持つ。
綺麗にセットされていた髪と共に乱れていく彼女の吐息。
「お、みく……ん」
“臣くん”
そう名前を呼ぶ声が、心地良く心に響く。
何度も呼ばれる度に、溢れてくるのは“愛しい”という感情。
溢れる想いの中で彼女を抱く。
愛しさは今日も募るばかりだ。