愛し*愛しの旦那サマ。




「臣くん、臣くん」

「何?」

「藍色と水色だったらどっちがいい?」

「は?」

「あと、ラベンダーカラーと淡いピンクだったらどっちがいい?」

「何だよ、その質問は」


あれから一緒にシャワーを浴びて寝室に戻った俺と幸代。

ベッドに横になっていると、ひょこりと幸代が胸板部分に顔を乗せて聞いてくる。


「あのね、今日の結婚式素敵だったの。やっぱり白無垢とウェディングドレスっていいね~…あの、お局鈴木主任が乙女に見えちゃった」

「それと、さっきの質問とどう関係があるんだよ……」

「それがね、色打掛けとカクテルドレスも鈴木主任が着ててね、すっっごく素敵だったの……で、そこで早速、臣くんにご相談なんですけど、前撮りにその二点も追加でいいかな?」

「……」


何となく、そんな事だろうとは思った。

幸代には何度も言ったが、写真を撮られるのは好きじゃない。

昔、姉貴と一緒に連れて行かれた写真館での出来事を思い出す。

姉貴一人で撮ればいいのに、嫌がる俺を無理矢理カメラの前に立たせてのツーショット。

親父が仕事で不在だったのをいいことに、俺は着せ替え人形の様に扱われ、一日中監禁状態。

今でも思い出すと不快な気持ちになる。

< 467 / 498 >

この作品をシェア

pagetop