愛し*愛しの旦那サマ。
「臣くん、臣くん」
「何?」
「藍色と水色だったらどっちがいい?」
「は?」
「あと、ラベンダーカラーと淡いピンクだったらどっちがいい?」
「何だよ、その質問は」
あれから一緒にシャワーを浴びて寝室に戻った俺と幸代。
ベッドに横になっていると、ひょこりと幸代が胸板部分に顔を乗せて聞いてくる。
「あのね、今日の結婚式素敵だったの。やっぱり白無垢とウェディングドレスっていいね~…あの、お局鈴木主任が乙女に見えちゃった」
「それと、さっきの質問とどう関係があるんだよ……」
「それがね、色打掛けとカクテルドレスも鈴木主任が着ててね、すっっごく素敵だったの……で、そこで早速、臣くんにご相談なんですけど、前撮りにその二点も追加でいいかな?」
「……」
何となく、そんな事だろうとは思った。
幸代には何度も言ったが、写真を撮られるのは好きじゃない。
昔、姉貴と一緒に連れて行かれた写真館での出来事を思い出す。
姉貴一人で撮ればいいのに、嫌がる俺を無理矢理カメラの前に立たせてのツーショット。
親父が仕事で不在だったのをいいことに、俺は着せ替え人形の様に扱われ、一日中監禁状態。
今でも思い出すと不快な気持ちになる。