愛し*愛しの旦那サマ。


「臣くん、幸代の一生のうちで何度もあるお願いの中の一つと思って、どうぞ聞いてあげて下さい」

「……」

「ほら、挙式予定日って結婚記念日の二日後だし……前撮りは来月だけど、結婚記念日の幸代へのプレゼントと思ったら一石二鳥でしょ?」


臣くん、お願い、お願~い、


と、なぜか顔面を俺のパジャマにゴシゴシと擦り付けながら言う幸代。

顔を痒がる犬か。

と、そんな目で幸代を見る。


百歩譲って了承した前撮り。

予定では白無垢とウェディングドレス、その二着での撮影らしいが、出来るのならば、それさえも勘弁してほしい。

被写体にされていると思うだけで不快感が募るからだ。

けれども、そうは思っていても、

結局、


「わかったから、その鬱陶しい行動をやめろ」


そう、了承してしまう。

彼女に強請られると、何だかんだで折れてしまう自分。

一緒に居れば居るほど、譲歩する事が多くなってしまっているから困る。


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